"MORI NO TERRARCE／NIWA-NO-TOMARI" NATURE PHOTOGRAPH

ホテルと施設の建築撮影とイメージ撮影を担当

暑さが身に沁みる東北の夏。秋田県の北部にある北秋田市に向かいました。目的はSTILL WORK。今回のクライアントは東京の制作会社さん。北秋田市で展開する複数のホテルや施設、移住支援関連の施設を巡る2泊3日の旅。仙台から北秋田市までは東北道を北上し、車でおよそ3.5時間ほどかかります。

前日撮影があったため、撮影後に直行し前泊しましたが、夜に撮影を終えてから3.5時間車で移動することは貴重な体験でした。

訪れたのは北秋田市にある施設「森のテラス」。そして宿泊施設である「庭のとまり」。なんとか晴れたものの、前日雨のためサウナのような天候。それでも時折吹く風が気持ちいいのはやっぱり東北ならではの気候です。この二つの施設は同じ企業が運営しているとのこと。代表は東京の水道橋駅近くにある「庭のホテル」の作庭も手がけた方だと教えて頂きました。

今回は風景の他、ポートレート撮影もあったためカメラはEOS 1DX markⅡで機動性を。この場所は16-35と50mm f1.2の2本のレンズだけで撮影しました。

風、水、静寂、生きている空気

初めて訪れた夏の北秋田は蝉の声と森とに包まれたとても静かな場所でした。カメラを片手に歩いていると水の音と鳥の声が聞こえてきます。風が吹くと草花のサワサワとした音すら聞こえてくる。

そんな自然の中に身を置くと、我々曖昧な人間にとってそれらがとても大事なのだと細胞そのものが実感します。風を感じなさい、水を求めなさい、静寂を大切にしなさい、あなたが生きている意味を全身で味わいなさい。そういって細胞事態が自分に語りかけてくるのかもしれません。

こうしてこの写真達を眺めていると、あのジリジリジメジメした数日の記憶、山々が包んでくれるような感覚、突き放されるような感覚、またおいでと慰めてくれる感覚。東北の優しさと厳しさの合間に身を置いた時間が蘇ってきます。

我々が住む東北は未知な場所がたくさんありますね。芯があり、おもてなし上手で世話焼でキュートな秋田の方々がまた大好きになりました。今でも目を閉じるとこの風景と草花の匂いを思い出します。今回も得難い仕事をありがとうございます。

PHOTO：KYOSUKE YAMAUCHI